外来生物の規制

外来生物の規制

最近テレビやネットで「外来生物による様々な問題」が取り上げられることが多くなりました。直接人に対して危害を加えることもあるので注意が必要ですが、日本の在来種への被害は甚大になりつつあります。

最近興味深いと思うのは池の水をほぼ抜いて外来生物を捕獲するとか、捕獲した外来生物をプロの料理人の手でおいしくいただくとか。こうした企画ははじめは面白半分だったかもしれませんが、やってみると興味を持つ人が多く、外来生物問題を考える良いきっかけになっていると思います。

観賞魚業界でも昔から川や池に放してしまう問題が語られています。大きくなって飼いきれなくなるという理由はもちろんですが、小型のグッピーなどは増えすぎてしまったり、飽きてしまったりして生きたまま捨ててしまうことが多いようです。先日あるセミナーを受けた際、日本ではペットを「愛玩動物」と呼び、ドイツでは「伴侶動物」と呼ぶと聞きました。愛玩=愛するおもちゃ。伴侶=共に生きる者。日本のペットに対する考え方の文化がこういった表現になっているものと思われます。飼育者一人一人がペットに対する考え方を飼育を始める前に考える必要があるのではないでしょうか。そして我々のようなペットを扱う業者も飼育者との関係性を深め、より柔軟な対応をし、飼育者と動物たちの幸せについて深く考えていかなければなりません。

最近規制の対象になったのが、「ガー科の全種」です。成長すると2~3メートルにもなり、丈夫で数十年単位の寿命があります。こういった生物が問題となる一番のポイントは「耐寒性がある」ということです。日本の冬を越すことができる=繁殖する可能性があるという式が成り立ちます。もちろん越冬できないから放しても大丈夫なわけではありません。

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規制はかかりますが、即処分しなくてはならないわけではなく、許可申請手続きをすれば飼い続けることができます。許可を受けずに飼育したり、他人へ譲り渡しなどをすることは違法行為となりますし、野外へ放すことも違法となります。詳しくは環境省の「日本の外来種対策」ウェブサイトをご覧ください。

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動物だけではなく、水草なども特定外来生物として指定されている種類もあります。注意しなければならないのは、飼育者が意図しなくても水替えの際に茎や葉の小さな破片を水と一緒に屋外に流してしまい、繁殖してしまうこともあるのです。こちらも環境省の「日本の外来種対策」ウェブサイトをご覧ください。

こういった問題は、すべて人間が引き起こしているということを自覚しなくてはなりません。私はちゃんとやっているというだけでなく、地球に住む生物の一員として、生態系の頂点に立つ種の責任としてとらえねばならないと思います。